肩液晶画面を考える

知見

肩液晶画面とは、カメラの上面に配置されており様々な設定項目を表示する画面のことである。
ハイクラスカメラに搭載している場合が多いが、最近は廃れているような印象を受けている。
実際、LUMIX S1IIシリーズやα1II/α9IIIにはフラッグシップカメラであるにも関わらず搭載していない。
特にLUMIX S1IIシリーズは、前モデルでは搭載していたが後継機では廃止されてしまった。
なお、マイクロフォーサーズ機でもLUMIX G9ProからLUMIX G9ProIIにモデルチェンジしたときに廃止されている。
使う人が少ないのかもしれない。
かく言う僕も、所有しているLEICA SL2-Sに肩液晶画面が搭載されているが全く使っていない。
スナップが多いので設定を都度変えて撮ることはしない。そのため現在の設定は常に頭に入っているためほとんど見ることがないのだ。
今回はそんな肩身の狭い扱いを受けている肩液晶画面について考える。

肩液晶画面には何が表示されるのか。
普段、見ることがないので改めてじっくり見てみた。

iPhone16eで撮影

ナルホド。
ちなみに周辺の照度により自動でバックライトがON/OFFされる。
ちなみに、現行型のLEICA SL3やLEICA SL3-Sにも肩液晶画面が搭載されている。
なお、ライカ以外にもフィルム時代からカメラを作っていたキャノンやニコンのカメラには、現在でもハイクラスカメラには頑なに肩液晶画面を搭載しているが、デジタルからカメラを作りはじめたソニーやLUMIXが搭載していないのは、なかなか興味深い差異である。

僕とは違い、普段肩液晶画面を見る人は、これがないとEVFや背面液晶画面を覗けない時に現在の設定の確認が出来ず困るらしい。
明るい野外でEVFを覗く体勢がとれず、さらに背面液晶画面は周辺が明るすぎて見えづらい場合に肩液晶画面が役に立つ。
ニッチな要望だと思うが。

では、やはり非搭載より搭載していた方が良いのかもしれない。
しかし「機能てんこ盛り→価格もてんこ盛り」の要因のひとつになるだろうな。
僕は不要と思っているので、その分カメラの価格は下げて欲しい。

カメラの小型化はカメラボディの表面積の縮小化だ。
そのため、アレもコレも搭載したいと言っても限られたスペースに機能を配置するには限度がある。
肩液晶を配置するなら、カメラボディをその分大きくするか、配置されてある何かしらの機能とバーターするしかない。
カメラボディのサイズアップはこの世の99%以上の人が求めていないので、肩液晶の代わりに排除する機能を探すことになる。
となると、僕の中では最初から決まっている。
PASMモードダイヤルだ。
ファインダーまでデジタル化された現代において、この設定をわざわざダイヤルUI(ユーザーインターフェース)として独立配置している意味がない。
現在の設定は、他の項目と一緒に背面画面やEVF、そして肩液晶のいずれでも確認することが出来る。
他のダイヤルなどに機能をアサインして肩液晶画面に表示しておくように設計することも出来るはずだ。
それに肩液晶の方がカメラのデザインがゴチャゴチャせずにスッキリしていて良い。

iPhone16eで撮影

ダイヤルUIのメリットは、カメラっぽい操作感が得られる気がする点と、華美なデザインの2点だけだと思っている。
それらを強く求める声もあるだろうが、僕のようにそう考えない写真撮りもいる。
撮影モード、シャッター速度、ISO感度、露出。
なんでも個別のダイヤルで設定するのは僕はあまり好きではない。
暗所では現在の設定が見えづらいし、そもそもデジタル制御が進んだ現代において、こんなアナログ操作は無意味である。
現代の多くのレンズにはフォーカス位置の表記もないし、中にはF値の表記がないレンズまである。
ダイヤルUIの意図は、カメラを首からさげて上から見下ろしたときにシャッター速度、ISO感度、露出、F値、フォーカス距離がひとめで分かることに意味があるのだ。
レンズにそれらの表記がなければ、カメラボディのダイヤルUIも意味がなくなるではないか。
以前、なにかの記事で、最近のレンズにフォーカス距離の表記がないのはオートフォーカスが優れており、多くの撮影シーンをオートフォーカスで行えるためと読んだことがある。
それならばカメラ上部に現在のフォーカスモードを表示する必要があるだろう。
つまり、ダイヤルを配置するくらいなら、肩液晶画面を配置して様々な設定項目を表示していた方がずっと合理的だ。
と言うわけで、僕はダイヤルUIに否定的だ。
オシャレ以外に意味がない。
ビンテージデザインやレトロデザインと言われているが、デジタルで撮影する道具のデザインとしては矛盾を感じる。
どうしてもダイヤルを搭載したいなら、デジタル制御らしくアサイン可能なダイヤルを配置して欲しい。
ヘリテージデザインというやつだ。

iPhone16eで撮影

冒頭で述べたとおり、僕は肩液晶画面を使わない。
しかし、PASMモードダイヤルなどの余計な機能のダイヤルが付くくらいなら、肩液晶画面の方がずっと良い。
付いていると高級感あるし。
でも結局のところ、肩液晶画面もPASMモードダイヤルも、僕はどちらも使わないな。
表示が多いとごちゃごちゃと派手になるし、ダイヤルなんてアサイン可能なものが2つ3つ付いていれば問題無い。
プロの道具としてなら話は別だが、僕の撮影スタイルはプロの撮影スタイルとは全く違う。
僕自身、写真を撮るときは自分のスタイルで写真を撮りたいし、じっくりと被写体に向き合っていたい。
それに写真はファインダーを覗いて撮るので、ファインダーや背面モニター以外に機能や設定の表示は不要である。

結論
肩液晶画面も機能が固定されているダイヤルも不要!
ダイヤルはアサイン可能なものが付いていればOK。
その方がデザインとして機能的で洗練されている。